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2007年2月11日 - 2007年2月17日に作成された記事

2007年2月13日 (火)

硫黄島からの手紙----手紙を返したいと語った米兵

mixi上で知り合った方に、イーストウッドの話題の映画「硫黄島からの手紙」に関連して、以下のようなニュースを見た、と教えてもらった。

硫黄島の戦いに行った元アメリカ軍兵士が、その時持ち帰った、日本兵の手紙を返したいと希望している、という。
「硫黄島のことは、頭から消えたことがない。手紙を見つけて記念に、と軽い気持ちで持ち帰ったが、日が経つとともにその手紙の重さに心を苦しめてきた」と話す。
そして、いつか返したいという気持ちをクリントイーストウッド監督が背中を押してくれた、とインタビューに応えていた。

ということだ。
このニュースにはどこか心打たれるものがある。
手紙を返したい、というアメリカ兵の話は、例え、戦勝国の兵士であっても、(まさに、勝ったことによっても)一生消えないような傷を自らも負う(という潜在的な可能性を常に持つ)ことを教えてくれているのではないかと思う。

戦争、と考えると、あまりに巨大で、ぼくにはどう考えたらよいのか、わからなる。
そこで、次善の策として、戦争を個人の争い(喧嘩)、のレベルでひとまず便宜的に考えてみる。
すると、争いそのものをなくすことは原理的に出来ないだろう、ということは明らかなことのように思える。それは明らかにぼくらの本能に根ざす起源を持っている衝動に関連していると思われるし、ぼくらの日常生活の中にある大小の争いにはそれなりに理由があるのであって、その理由を完全に解消できるような便利でオールマイティでかつ真っ当な方法が存在しない以上(存在しませんよね?)、争いが起こることにはそれなりに理由があると考えざるを得ない。おそらく、争いを根本的に無くすような方法がもしあったとしても、それは「人間」を破壊することなしに達成できない様な方法になるだろうと思える。例えばロボトミー手術のように。

結局、人間という生物は、その避けられない争いを、せめて相互に破滅的なものとしないために、様々なルールを編み出すために大変な努力をしてきた長い歴史を持つ生物だと言えるのかもしれない。そのルールは、典型的には法律や憲法の形を取ってきたと言っていいのだろうし、政治というのはそのルールを生み出す努力そのものでもあったはずだろう。そして、ゴミ捨てのルールや町内会の集まりでの決めごとに至る身近なところにも、その努力は現に生き続けている。さらに、個人個人の内面においても、ぼくらは様々な形で生まれてからずっと、公に通じかつ自身をも納得できるようなルールを育む努力を続けつつ生きている、と言ってもいい。

武力戦争、というのは、様々な努力にもかかわらず、国と国とがうまくルールを共有できずに行うルール無しの(あるいは、壊れたルールによる)争いだ、と考えることができるだろう。この時、実は相手の国のルールを踏みにじるだけではなく、多分間違いなく、自分の国の(通常は遵守している)ルールをも踏みにじっているのだ。
というより、「人間」のルール、そのものを踏み破っている、と言ってしまうしかないのだろう。
つまり、ルールに則った正々堂々とした正気の戦争、など原理的にあり得ないと言うことなのだ。例え、国の元首が如何にも冷静を装い、理路整然と、戦争に至ったやむを得ない理由を説明したとしても、戦争に突入した時点で、実は自らの社会のルール、人間のルールを共に反故にし、我を忘れた狂乱状態になっている、と考えた方がいい。

だから、戦争という巨大な狂気に参加した戦勝国アメリカの兵士が、戦争が終わって半世紀以上にもなる今においてもなお消えない傷を心に持ち続けていたとしても、不思議はないのだと思う。 彼もひとりの人間として大切な、心のルールを、あの戦争で破壊されてしまった、と言う意味では、きっと多くの日米の兵士と同じだったと思えますから。

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